■ベレニス(原題:Berenice) エドガー・アラン・ポー作 訳:大岡昇平
主人公のエグスは、地方で一番古い建物に住む由緒正しい人物です
その古い屋敷はとても複雑な構造をしており、大居間の壁画、寝室の壁掛、武器部屋の彫刻、どれをとっても古めかしく陰気で、
街の住人も幻視者の血統と呼んでいるくらいです
エグスは、その家の図書館で生まれました
そして、全ての時を図書館で過ごし・・・少年時代も、そして青春の全てを夢想に浪費しました
夢の国の観念だけが現実で、現実は全てが幻として働きかけたのです
主人公の従兄妹ベレニスは、同じ先祖代々の家で育った明朗快活な女性です
美しく活気に満ち溢れ、無邪気に毎日を過ごしていました
この極端に対照的な二人は、何事も問題なく日々を重ねていったのです
ところが、突然悪夢のような出来事が二人を襲います
ベレニスに襲いかかる悲劇!!
あまりに変わり果ててしまったベレニスを見るたびに、エグスはもともと持っていた精神的な病を悪化させてしまうのでした
急激に変わっていく二人の運命!!
そしてエグスは、ついに見てはいけない”もの”を見てしまうのです
それは、エグスを精神の虜にしてしまうに十分な”もの”でした
その”もの”とは一体何なのか?
そして二人に待ち受ける運命とは??
非常に難解で神経質な文章が、ポーの魅力を十分に引き出しているといえる早すぎた埋葬がテーマの作品です
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